市立高崎特別支援学校さんにて、「きょうだいの気持ち」をお話させていただきました
こんにちは。
今年の梅雨は本当に梅雨らしくて、しとしとですね!
暑いのはしんどいけど、こうも続くと早く夏らしい空にならないかなあと思います。
少し前ですが、7月3日(水)に、市立高崎特別支援学校さんの学校保健委員会にて「きょうだいの気持ち」についてお話をさせていただきました。
去年12月におこなわれた「シブリングサポーター研修ワークショップ」の公開講座に、保健の斎藤先生が参加してくださったご縁で、貴重なご依頼をいただいたのでした。
あらかじめ先生が保護者の方々から質問をあつめてくださっていたので、聞きに来てくれるみなさんがどんなことに関心があるのか前もって知ることができ、ありがたかったです!
時間の都合上、全部の質問にお答えできなかったので、記述したものを先生にお渡ししました。その内容を以下に記します。
同様に、きょうだいさんのことで悩まれているお母さん・お父さんの参考になればいいなあと思います。
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保護者アンケートご回答
- きょうだい 5歳年上の兄
・もう大きいので特に不満を言うことはないが、本当は嫌なこと、さみしいことあったと思う。1度も聞いたことがないので逆に心配だった。障害のある兄弟を持つと、どういった悩みを持つのか、不安があるのか聞きたい。
→わたしの場合ですが、「友達に言いにくい」「友達が反応に困っているのを見るのがイヤ」という、弟のことを友達に伝えるべきかどうかを悩み、
「わたしが大人になったら、弟の面倒は自分がみるのか?」
という漠然とした不安がありました。
10代のころは自分と家族の将来についてや、友達にどう説明したらいいのかなどで悩む方、20代・30代になると、結婚・出産について悩む方が多いようです。
- ・親には分からないだろうと思うことは何ですか?
→本人自身も気がついていないモヤモヤした気持ちは、なかなか表現できなくて親御さんにも伝わりにくいのかなと思います。
・幼少~大人になる過程で障害のある兄弟に対する思いはどう変わりますか?
→保育園年長のときに、弟が他の子と同じようにできないことに困惑しました。
小学生のときは、出掛けると人にじろじろ見られたりすることが恥ずかしくなり、高学年~中学生のときは、家族のことを「恥ずかしい」と感じることが「悪いこと」だと思い、罪悪感をもちました。
中・高校生のころは、兄弟姉妹の話になるとどうしてもごまかすことができず、「弟は知的障がい者だ」と打ち明けて、自分で言った言葉に大きなストレス・ダメージを感じることがありました。
今考えると、後からそんなにつらい思いをするのなら、弟をいないことにするとか適当に流す方法もあったと思います。
でも、そのときは誰にでも正直に話すことで家族への義理を果たしていたというか、自分の罪悪感を少しでもなくそうとしていたのではないかと思います。
「いないこと」にするのも覚悟がいりました。
でも、弟をいないことにすることで、自分の生活が気楽になるのであれば、そうしてもいいと思います。自衛手段のひとつとして。
大学生になると、家族に知的障がい者がいるということが、あまり他の人がしない貴重な経験と考えることができるようになりました。
- 悩みについて親などの家族、または誰かに相談しましたか?
→「悩み」と思っていなくて、ただモヤモヤとした気持ちで、自分自身の問題、自分で何とかしなければいけないと思っていたので、人に相談したことはありません。
・思春期に親の接し方で嫌な思いをしましたか?
→障害のある弟のことに関しては、親の接し方で特別嫌だったことはありません。
思春期は反抗期で、しっかり反抗したので、そのころは、親はもう親というだけで嫌だった時期はありました。笑
- ・身近なところで「きょうだい会」の活動はありますか?
→きょうだい会Shirabeが太田市に、群大のサークルで「ぱずる」という自閉症の兄弟姉妹をもつきょうだいのための会があります。こちらは家族参加です。
- きょうだい 妹2人
・兄のとる不思議な行動を説明すると、上の妹は理解し、あたたかく受け入れ、受け止めている様子。
この先敏感になっていくと思うので、兄の存在をどのように説明したら良いのか分からない。
世の中には様々な個性を持った人がたくさんいることを教えたいが、一方で理解のない人々への対応も心配。どんなタイミングで的確な助言をしたらよいか知りたい。
→きょうだいへの説明は、その年齢に適した言葉で、わかりやすく説明するのがいいといわれています。
でも、1度で理解させるのはむずかしいし、その子がどの程度わかっているのかというのも、量り切れないことだと思います。
1回説明したら終わりでなく、成長に合わせて何度も説明するといいそうです。
それと、もっとも好ましいのは、障がいについて話題にすることをタブーにしないこと。
疑問に思ったら、いつでも気軽に両親に聞ける雰囲気が家庭にあると、きょうだいさんが疑問に思ったそのタイミングで疑問を解消できるので、理解しやすいと思います。
- きょうだい 年の離れた兄2人
・歳が離れており、遊ぶというよりは兄がかまっているという感じ。思うようにならない時、地団駄をふみ、悔しくて泣いたり物に当たったりしている。年が近いきょうだいがいるお家は一緒に遊んで学び、性格もやわらかくあまり怒ったり大きな声を出したりしていない。つい比べてしまう。伸びるまで時間がかかるのかも、、と心配。
→普通のきょうだい関係でも、歳が離れていると一緒に遊ぶことは少ないので、そこは気になさらなくていいんじゃないかなと思います。
お兄ちゃんが、下の子をかまってくれるのなら、いいきょうだい関係なのではないかと思います。
- きょうだい 5歳下の弟
きょうだいが、「障害があるからしょうがないんだよね!」と言うことが多く、事実なのだがうまく受け入れられない。
→うちの子も叔父(わたしの弟)に対して同じことを言います。それはそうなんだけど、ちょっと違うような気がしますよね。そのニュアンスを伝えるのが難しいです。わたしも悩んでいます。
「苦手なことが多いから一緒に手伝ってあげようね」と言いかえるようにしている。
→「なるほど!」と思いました!
この先きょうだいが成長していく中で、からかわれたりするかもと起こっていないことに不安を感じる。家族として今何をしたらいいでしょうか?
同様の質問●・今までは歳が小さいこともあり、あまり気にしなかったが、きょうだいが小学生になり大きくなってきたときなどのきょうだいの友達の反応、態度など。
→もしかしたらあるかもしれませんよね。親御さんにできることは、障がいは悪いことじゃないし、ましてからかわれたり非難されたりすることじゃないということをしっかり伝えることではないかと思います。
親御さんが心からそう信じていれば、きょうだいさんも本当にそう思えるし、そうすればからかわれたときも必要以上に傷つかない、強い気持ちを持っていられるのではないかと思います。
「からかうほうが間違っている」と自信をもっていられるのではないかと思います。
- ・「なぜ」の質問にうまく答えられません。「なぜ」同じ学校に通えないのか、「なぜ」宿題がないのかなどいろいろと考えているようで、平等でないことに不満の言葉も出てきます。どのように対応するのがベストでしょうか。
→ベストの対応というのは、わたしにもわからないのですが、「なぜ」には辛抱強くその都度説明するしかないのではないかと思います。
普通の小学校のほうが宿題も多いし、大変だし、平等じゃない、自分ばかり大変だと思うのかもしれませんね。
不満は不満として、受けとめてあげるのがいいのかなと思います。
「大変なのにできていて、えらいね、すごいね」と認めて、ほめてあげるといいのかなと思います。
たぶん、障がいがあるから自分と同じようにするのは難しいんだろうな、というのは、きょうだいさんも重々承知のうえで、不満を訴えているのではないかと思うので……。
- きょうだい 4歳上の兄
兄より
・弟に気持ちを伝えたいが、うまく伝わらず、弟からも反応がなく淋しい。どうしたら仲良くなれるのか、話ができない弟とのコミュニケーションが難しい。
→仲良くしたいという気持ちは、きっと弟さんには伝わっていると思います。きっと嬉しいと思います。
極端なことをいえば、きょうだいだからって絶対に仲良くしなくちゃいけないわけじゃありません。このことに関しては気が合わない、一緒に遊べないからつまらないと思えば、無理してつまらない思いを我慢しなくてもいいと思います。
コミュニケーションも、おしゃべりがはずむことばかりが「コミュニケーションがとれている」のではないと思います。そのふたりだからこそのコミュニケーションでいいと思います。
・同級生や友達に、弟のことを言えない
→無理して言わなくてもいいです。説明するのも難しいですし、どんな反応をされるのかも怖いですし、本当に仲の良い子とか、彼女とか、理解してほしいと思う子にだけ打ち明ければいいと思います。
・クラスメイトに弟のことでからかわれたことがあり、その子には弟のことを話したくない。
→話さなくていいです。からかうほうが間違っているので、そのことにクラスメイトさんがはやく気づいてくれるといいですよね。
・特定の友達だけには話せるが、弟のことを知らない人(担任の先生など)には話したくない。
→先生にだって、話したくなければ話さなくていいと思います。
母より
・これから多感になる思春期、どうしたら良いのか、気持ちを分かってあげてかたくなにならずに成長して欲しいがどう話せば良いのか分からない。
→お兄ちゃんは、悩みをお母さんに話せているので、すばらしいと思います。ひとりで抱え込まないことがたいせつです。
お母さんも、「困ったことがあれば聞くよ」という意思表示をされているので、すばらしいです。本当に、きょうだいさんにとってこれ以上の助けはないと思います。
- きょうだい 兄
・どうしても弟に手がかかるので、兄に関わる時間がとれない。
→ほんのちょびっとでも大丈夫です。「今日の夕飯は○○(兄)の好きな△△だよ」とか「今日は学校で何が楽しかった?」とか、二言三言でも毎日「きょうだいさんだけに話しかける」ようにしたら、どうかなと思います。
・障害についてどのように話したらいいのか(なんとなく気がついているようだが)
同様の質問・姉の障害についてきちんと話すタイミング、話す必要性、話し方など気になります。
→その年齢に適した言葉で説明するのがいいのですが、どんなことに疑問を持っているかきょうだいさんに聞いてみてもいいのかなと思います。
- きょうだい 妹 年長児
・きょうだい児であることに気づいたor自覚したのはいつ頃ですか?またそのきっかけは何でしょうか?
→自分が「きょうだい児」と呼ばれる存在だったんだ~と初めて気づいたのは、大人になってからです。30代です。それまで、「きょうだい児」という言葉は知らなかったです。
でも、弟に障がいがあるというのは年長くらいから自覚していたのではないかと思います。
きっかけは、弟がみんなと同じようにできないという困惑です。
・きょうだい児であることで、進学・就職・結婚・出産などの人生節目において影響受けていることはありますか?
→わたしは幸運なことなのかそうでないのか、あまりそういった人生の節目に弟のことを意識したことはありません。
ただ、もうひとりの下の弟と、「弟(下の弟にとっては兄)を受け入れられない人と結婚するのはありえない」という話をした覚えはあります。20代のころです。
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このアンケートを記述するために、きょうだいさんにお話を聞いてくださったお母さんがいらしたそうです。
これまでこういった「障がいのある兄弟姉妹についてどう考えているか」という会話をしたことがなかったそう。
「『こんなふうに考えていたんだ』って初めて知ることができて、よかった」っておっしゃってくださっていたそうで、とてもうれしかったです。
相変わらず人前でしゃべるのに慣れず、しどろもどろ……なんですが、みなさん真剣に聞いてくださいました。ありがたや。
わたしが前に出てお話をする前に、保護者の方々5~6人に分かれてのグループトークがおこなわれ、わたしもそのうちのグループに混ぜてもらったのですが、
同じグループだったお母さんたちが、優しいまなざしでうなずきながら聞いてくれていたので、とっても心強かったです!笑
校長先生は、現在はおとなになった姪御さんがきょうだいさんで、学齢期には相談を受けることがあったそうです。
「姪の話を聞いているみたいだった」とおっしゃっていました。
校長先生のお話では、姪御さんは「相談をする」というよりも、障がいのある兄弟姉妹のことで困っちゃったこととか考えていることを、叔父さんと「ただしゃべってただけ」とのこと。
その「ただしゃべる」という経験が、すごくすごくたいせつなことなんだと思います。
姪御さんは、叔父さんには家族について隠すことなく話題にすることができて、すごく気持ちが楽になったのではないかなあと思いました。
そういう存在って、とっても貴重だと思うのです。
こういった機会をいただくたびに、わたしにもいろいろな気づきや学びがあって、勉強させていただいています。
貴重な機会をくださった市立高崎特別支援学校さん、ありがとうございました。