群馬県立吾妻特別支援学校 PTA学習会でお話をさせていただきました
12月13日(木)、群馬県立吾妻特別支援学校さんのPTA学習会で、「障がいをもつ子どもと共に育つきょうだいの気持ち」と題してお話をさせていただきました。
吾妻特別支援学校さんは設立4年目で、中之条小学校と同じ敷地内に建っており、2階が廊下でつながっていて行き来ができます。
http://www.nc.agatoku-ses.gsn.ed.jp/
小学校の児童と支援学校の児童が、挨拶や活動を通して自然と交流できるすてきな学校です。
吾妻地域の特別支援教育の拠点でもあり、専任アドバイザーの先生がいらして、指導者や保護者の方からの相談を受けるなどの役割も担っているそう。
そんな地域の特別支援教育の中心である学校のPTA学習会でお話をさせていただくことになるとは!
なんたる光栄!
というわけで、バクバクに緊張して行きました。笑
参加してくださったのは、保護者さん16名・先生方4名の計20名。大半は吾妻特別支援学校の保護者さんですが、他の学校からも数名ご参加くださったとのこと!
全校生徒の保護者さんは22名と伺っていたので、たくさんのお母さま・お父さまがご関心をもってくださっているのだなあ……とうれしく感じました。
と思ったら、保護者アンケートで「学習会のテーマに取り上げてほしいこと」にたくさん書かれていたお答えが「きょうだい」についてだったのですって。
それで、担当の先生が「講師になりそうな人、近くにだれかいないかなあ~」とネットで探して、きょうだい会Shirabeにたどり着いたということでした!
ご連絡をいただいた時点では、まだ設立して1年もたっておらず、きょうだい会もまだ3回くらいしか行っていなかったと思うのですが、本当にありがたいことです。
「よく見つけてくださいましたね~!」と、つい担当の先生に言ってしまいました。笑
わたしは専門家ではないので、当事者の視点から「きょうだいの気持ち」について、シブリングサポーター研修ワークショップで学んだことに自分の経験を交えて、お話をさせていただきました。
きょうだい会を立ち上げようと思ったきっかけにはじまり、
自分が初めて知的障害をもつ弟に対して「他人の目を気にして抱いた感情」のことや、
最初は焦燥や困惑だった気持ちが恥ずかしさに変わり、その恥ずかしさが罪悪感につながっていったことなど……。
両親にしてもらってうれしかったことについてもお話させていただきました。
また、きょうだい会の存在意義に関しても、わたしなりに考えていることを述べました。
わたしは、「きょうだい」にもっと気を配ってほしい、親御さんがこころに抱いている「たいせつに思っている」という気持ちをどんどん伝えていってほしい、と思っているのですが、
だからといって「さもないと不登校になる」とか、「つらい気持ちをかかえたまま大人になってこころを病んでしまう」とか、(かなり極端な言い方をしましたけど)そういうことを言いたいわけでは決してありません。
しぶたねさんも仰っている通り、脅すようなことは言いたくないし、言うつもりもないのです。
なので、最後に「親御さんにたいせつにされているという実感があれば、ほとんどのきょうだいさんは大丈夫です。悩みがあっても、乗り越えていく強さをもっていると思います」と付け加えさせていただきました。
わたしは、初めて「きょうだい児」という言葉を知ったときに、なんとなく不愉快というか、大きなお世話というか、「自分はそんな名称をつけられて、大人に警戒されるような子どもじゃなかったはずだ」という反発を覚えたのです。
そのことは忘れないようにしたいなと思っていて、じゃあなんできょうだい支援をしているのか? と問われると、正直「う~ん……?」というかんじなのですが……
「きょうだいがもちやすい悩み」と同じ悩みを子どものころにもっていたことも確かで。
同じ年頃の子ども同士、相談……とまではいかなくても不安だったり困っていたりすることを話し合ったり、弟の行動を「あるある」って笑い合ったり、そういったことができたらよかったなぁって思ったのです。
だから、きょうだいさんに特別に気を配ってほしい半面、「特別扱い」はしてほしくないという気持ちもあり。
これを伝えるのが、とってもむずかしいのです……。
しかし、最後にPTA会長さんが感想を述べてくださり、そのときにぎゅっとまとめてくださったのです。
「今回お話を伺って、きょうだいは自己肯定感をもっていれば大丈夫、ということを改めて認識しました」
自 己 肯 定 感 ! !
わたしこの感想を伺ったときに、「あっ そっかあ~ つまりはそういうことなんだ!」って、なんだかびっくりしてしまいました。そして感心しながら、
「おっしゃるとおりです!」と、えらそうにお答えしていました。笑
自分は両親にたいせつにされている。
まわりの人間から「自分」として認められている。
自分の言動には価値がある。
そういう自己肯定感があれば、モヤモヤした気持ちや悩みをかかえていても、根本的には大丈夫。
でも、もしかしたら子どもの小さなこころ、思春期の傷つきやすいこころでは、一時的にかかえきれないこともあるかもしれない……
だからこそ、親御さんのたくさんの「大好き」や、まわりの大人の「君を見てるよ」のまなざしや、同じ境遇のお友達とのあるある話が必要なんだって、気がつきました。
「ほとんどのきょうだいさんは、大丈夫です」と言いながら、「きょうだい支援は必要です」っていうのって、なんか矛盾してる? と、ときどきモヤモヤしていたのですが、あぁそっか、そういうことねぇ~ って納得できました。
遅い?笑
とっても重要な気づきをいただけて、感謝しています。
質疑応答の時間に、わたしからも参加者のみなさんに質問をさせていただきました。
「きょうだいさんに、なにか特別にされていることってありますか?」
わたしは習いごとの送り迎えのとき、母とふたりきりだったのが今考えるとよかったなあって思うのですが、たぶん母は意識してそういった時間をつくっていたわけではないと思うのです。
おそらく、単に弟を連れていくのが億劫だからおばあちゃんに預けていたのではないかと。笑
最初はみなさん「とくにないです」っておっしゃっていたんですが、
「そういえば、学校行事にはかならず顔を出すようにしていました」とか、
「授業参観の日は、かならずわたし(お母さん)がきょうだいのクラスに行くようにしています」とか、
実はやっぱりありました!
きょうだいさん、きっととってもうれしいですよね(^^)
担当の先生が後ほどアンケートをまとめたものを送ってくださって、
「これからわが家のきょうだいたちがどんな感情をもつかはわかりませんが、『きょうだい支援』があることで、不安が少なくなりました」
「きょうだいについて気になってはいたけれど、後回しのところがあって、今回参加できてよかったと思います」
「今回初めてきょうだいにスポットを当てたお話を、当事者の方から直接聞くことができて本当によかったです。親としては同じように接しているつもりでも、きょうだいからみればいろいろ複雑な気持ちで日々過ごしているんだ、っていうことを、内に秘めていると改めて知ることができたので、これからはどんなことでも話しやすい空気づくりをしていこうと思いました」
「今まで深くきょうだいの気持ちを考えられるほどの余裕がなかったのですが、こういう機会で考えさせてもらうことができてよかったです」
……などなど、「きょうだいもきょうだいなりに考えたり悩んだりしているんだなあ~」「うちもきょうだいにもう少し気をかけてみよう」ってたくさんの保護者さんに思ってもらえたようで、ありがたいです。
お兄さまに知的障害がある、という保護者さんも参加してくださっていて、
「子どものころに思っていたことが自分だけではないとわかり、スッキリしました」と感想を述べてくださり、とてもうれしかったです!
ああ、ここでお話させてもらえてよかったなあ~ と思いました。
最後になりましたが、こういったことに不慣れなわたしの、聞きにくいお話を最後まで聞いてくださった参加者のみなさま、本当にありがとうございました。
また、Shirabeを発見してくださった立塚先生、ただの当事者に年1回のたいせつなPTA学習会の講師をさせてくださった校長先生、貴重な機会をありがとうございます。
今回させていただいた体験を活かして、ますますきょうだい支援のひろまりに貢献していけたらなと思います。